跳躍運動

さて今回は、『跳躍運動』にテーマを絞ってお話したいと思います。

跳ぶといえば皆さんはどんな運動を連想するでしょうか。体育ローテーションで言えば跳び箱運動やトランポリン、縄跳び運動など挙げるときりがないくらいにたくさんあります。

しかしながら、先生方は子どもの様子をみて跳び箱が跳べない、短縄の前回し跳びができないということについてはお気付きになられるのですが、基本的な『跳ぶ』動作については、案外、重要視されない場合が多いようです。ただ単に、運動能力という言葉で片付けられる場合があるのですが、そうではありません。どういうことか、開発期・導入期・発展期・応用期の四つにわけて説明します。

開発期 

そもそも人間は生まれていきなり立つことも歩くこともできません。そのことについては当たり前のことのように理解しておられることと思います。また、歩けるようになったからといって、すぐ跳べるようになるものでもありません。では、跳べるようにはなるには、どんな経験を通して実現するのかを考えましょう。

まず跳躍といっても色々な跳び方があります。両足で踏み切るのか、片足で踏み切るのか、はたまた前に跳ぶのか、上に跳ぶのか、連続で跳ぶのかそうでないのか。子どもにとってどの跳躍も大きく異なります。そこが大人には見えていない部分になるのかもしれません。開発期に大切なことは、まず、バランスよく立つということと自分の身体を反重力的に跳ね上げることができるパワー(主に脚力)を備えるということになります。では、どうすれば備わるのでしょうか。それはとにかく動きまわることです。

遊ぶ(身体を動かす)経験を豊富にとることで自然と姿勢を上手に保持する能力や、跳躍に必要な脚力が身につくということになります。

導入期 

跳び下り開発期を経ると子どもたちは、どんな跳躍運動に興味を示すのでしょうか。日常生活で言えば、階段の一番最後をジャンプしておりたり、ちょっとした段差をみつけてジャンプしたりといった場面を見かけませんか。これは、跳躍運動の導入として、大変理にかなった行動なのです。先に、身体を反重力的に跳ね上げるパワーが必要であるといいましたが、これについては、高さがある分、反重力的に跳ね上がることを抑えながらも着地することができるのです。いわば跳躍運動の導入ともいえるところです。体育ローテーションの種目で言えば、跳び箱の跳びおり(イラスト1)になります。跳び箱に慣れる導入運動としての踏まえ方もあるのですが、それにとどまらず、様々な跳躍運動の基となる種目として踏まえていただくのが良いのです。この経験を通して、さらに遠くに跳んだり、高く跳んだりと子どもたちの興味はどんどん発展していくことになるでしょう。

発展期 

さて、ここでは主に連続でピョンピョンとジャンプすることについて考えます。子どもにとって連続するということは簡単ではありません。しかも、その場で跳ぶのか、前に進みながら連続で跳ぶのかといったところも大きな違いとなります。段階的に言えば

  1. その場で連続で跳ぶことができる
  2. 前に進みながら連続で跳ぶことができるの順にとなります。(イラスト2) 

連続跳びこういった跳躍運動については、動物模倣運動として取り入れてみたり、フープを複数並べておいて跳んだりと取り組み方は様々です。ただし、ここでも目的によって跳び方が変わるということまでも考えていない場合が多いようです。動物模倣運動でみる前進ジャンプは跳躍幅については制限なく、どちらかというとリズム重視の跳び方となります。それに対してフープを使った前進ジャンプはフープの大きさによる制限があり、まずは、一つずつ飛び越していくことが課題にあり、さらに慣れてくるとリズミカルに跳べるようになるということです。線を何本か引いて連続で跳び越してみたり、短縄をいくつか置いて跳び越すことも同じです。物に対して調整しながら跳び越すという跳躍運動はまさしく応用期に至るまで必要不可欠な運動を言うことができます。これは片足でのジャンプも同じですが、片足ジャンプ(ケンケン)についてはさらに高いバランスと脚力が必要になることを付け加えておきます。

応用期 

発展期に書いたジャンプは、同じ運動に連続性を持たせるということになります。この応用期の跳躍運動については、跳躍と跳躍ではない運動を組み合わせていくことで考えていきます。例えば走り幅跳びのように、走る〜片足踏み切りで跳躍することやロイター板のジャンプのように、走る〜ロイター板の上で両足で踏み切って跳躍するという運動をイメージしていただいたらわかりやすいと思います。跳び箱運動の腕立て開脚跳びになりますと、イラスト3

  1. 助 走
  2. 踏み切り
  3. 跳躍しながら開脚する(第一空 間 局 面)
  4. 台に手をつく(着手)
  5. 第 二 空 間 局 面
  6. 着 地。

といった大きく分けると6つの運動シーン(イラスト3)が瞬時に連続しておこなわれることであり、この運動の難しさを理解していただけると思います。

体育ローテーションにおける設定

メニュー設定を行う上で大切なことは、子どもの現状を知るということになります。要するに学年毎でメニューが決まっているという考え方ではなく、子どもの実状に合わせてメニューを考えることが大切であるということです。そういった意味で今回は敢えて、開発期・導入期・発展期・応用期とさせて頂くことにしました。幼児期の運動については、できて当たり前でなく、できることのすばらしさに着眼しながら活動していくことが保育者には必要であるということです。体育ローテーションという活動が子どもを知る機会にもなって欲しいと願います。

 

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