規律のある楽しい体育ローテーション

子どもたちが体育ローテーションを「楽しい」と思えることは非常にすばらしいことです。しかしながら、往々にして「楽しい」が度を越して「ふざける」ということになることも多いようです。 爽快感や達成感を感じながら、リズミカルなBGMに乗せ、お友だちといっしょに思う存分からだを動かす。そして、さらなるエネルギーをからだいっぱいに充足させることが、楽しい体育ローテーションのあるべき姿であると考えます。そしてそこには、「規律」というパスワードが大きなカギを握ることも忘れてはなりません。

「並ぶ」ということ

  1. 前にならえ
  2. 小さく前にならえ 

前回、「並んで待つ」ための段階的導入法についてふれました。さらにもう少しくわしくみることにしましょう。

前に習え一般的には、朝礼などでは男女別等の2列縦隊(2列の隊型で縦に並ぶこと)が多いようです。そこでよく使われるのが「気をつけ」や、間隔をとるための手段として「前にならえ」(イラスト①)、「小さく前にならえ」(イラスト②)などです。また「トントンまーえ、トントンまーえ」とテンポよく間隔をとることもあるようです。そこで、これらの基本姿勢をイラスト①②において再確認しておいてください。

小さく前に習え「前にならえ」とは、文字どおり、前にならって型を整え、間隔をとりながら列をつくることです。とくに後者の「トントンまーえ」においては、型だけできちっと間隔がとれていないことも多いようですから、注意してください。

姿勢を正すことは、内臓機能の働きを高めたり、血液の循環をよくする効果があるだけでなく、からだのバランスを高めることにより身体能力を上げ、集中力をも高める効果が期待できます。また、整列という「列を整える」という意識が、整理整頓や片付けなどと同じく、情緒の安定をもたらします。また、複数ですることにより一体感や協調性を高め、チームワークを生み出します。このことは、体育ローテーションにおいても非常に重要な部分となるのです。

間隔と感覚

そもそも「小さく前にならえ」とは、肘から指先までの長さで間隔をあけることをいい、「前にならえ」は肩から指先までの長さで間隔をあけることをいいます。それと同時にまっすぐ並ぶ目安としても使われます。しかし、それだけではありません。少し視点を変えて考えてみましょう。 私たち大人は、どのようにして間隔をとっているのでしょうか。スーパーのレジで並ぶ時、鉄道の切符を買う時……。無意識のうちに間隔をとりながら並んでいます。それが「目測」です。間隔を感覚的にとれるようになることが、本来の目的であると考えます。「小さく前にならえ」を「小さな間隔」として、「前にならえ」を「大きな間隔」として捉えることにより、『目測力』を高め、幅広い活動を可能にします。 「前にならえ」の動作が正確にできるようになれば、次はいちいち腕を使って間隔をとらずに、目測で間隔をとれるようにステップアップすることにより、体育ローテーションにおいても、並んで待つことがさらにうまくできるようになるでしょう。

集合と危険予知能力

「目測」についてもう少し考えを発展させていきましょう。日常生活において、もしくは保育においても、無意識のうちに間隔をとることを子どもたちに要求することが多いと感じられると思います。整列の中での間隔というのは、とくに前後に間をあけることが中心となります。ただし日常生活や保育においては、前後以外に、自分の周りすべて(三六〇度)に意識を持つことを求められることが多いのです。また、そのことが接触によるけがも減少させる、いわば危険予知能力を高めるということになります。では、体育活動、あるいは保育の中でどうすればよいか、ということになります。

何度もいいますが、「小さく前にならえ」を目測により「小さな間隔」、「前にならえ」を「大きな間隔」として捉えることができることは、非常に大切なことであるといえます。

しかし、それで終わりではありません。今度は「整列」ではなく「集合」というパフォーマンスに発展させていく必要があるということです。複数の子どもたちが、ランダムに先生の前に集まるという行為で、三六〇度適度な間隔をとりながら、自由な場所にポジションをおくことです。このときの間隔は、狭すぎず広すぎずです。ここまでのことが可能になれば、けがの減少以外にも、体育活動の幅も広がり、お遊戯などのポジションどりも上手にできるようになったり、なわとびをする場合にもうまく場所をとって練習することができるようになるのです。

もっとわかりやすく言えば、ポジションをとるのにいちいちマーキングをしたり、線を引いたりしなくても、人との位置関係、建物や樹木などとの位置関係などから、「だいたいこのあたり」というポジションどりができるようになるのです。まさしく「目測」ということになるでしょう。このことについては、体育ローテーションにおける、ランニングや準備体操、または器具の準備、片付けといった場面においても、その効果を発揮します。

また、体育ローテーション中においてそういう意識をもっていることにより、子どもたちだけでクリアする種目(補助者のいない種目)についても、確実にこなす力がついていることが多いようです。周りをよく見て行動するということは、足元をしっかり見ることにつながり、集中してじっくり落ち着いて行動をとるようになるようです。

また、とびばこの助走のスタート位置や、ボール、なわとびの練習範囲などについても、周辺の状況を判断をし、より適切な行動をとることが理解できるようになります。

 

子どもたちにできる限り任せながら、自主的にかつ楽しく体育ローテーションを展開していきたい、との願いをみなさんお持ちのことと思います。そのためには、日ごろの何気ない活動について見直すことも、さらに有意義な活動へのきっかけとなります。 子どもたちにとって体育ローテーションが、「生きる力」をはぐくむ場となりますよう、心から願っております。

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