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子どもたちにがんばる力とできたときのよろこびを・・独自の段階的運動プログラム 年間全国15000人の指導実績

馬力をあげる体育ローテーション(2)

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前回は、たくましさと技能の深い関係を『馬力』というキーワードをもとにお話ししてきました。今回は具体的にどうすれば『馬力』を高める環境をつくることができるかを、体育ローテーションの観点から考えてみることにしましょう。

『馬力』をあげるために大切なこと

『馬力』をあげるために、体育ローテーションにおいて大切なポイントとはどのようなことでしょう。6つにまとめてみました。

  1. 楽しいからもっとやりたいと思える
  2. 手を伸ばせば届きそうなところに目標を設定する(最近接領域)
  3. リズミカルにテンポよく
  4. 全身をくまなく使う
  5. 変化のあるくり返し
  6. 同じ時間、同じ場所で毎日続ける

まず①ですが、これは教育の基本ともいえることであろうと思います。子どもが自発的に無我夢中で取り組むことができる活動でなければなりません。これは、以下の②〜⑥にも通じる重要なポイントです。

②については、たとえばとび箱運動において、自分の体を支えるだけの腕力がない子どもや、両足をそろえてジャンプできない子どもに、開脚とびを強要しても跳べるわけがありません。鉄棒で、ぶら下がりができない子に、逆上がりを強要するのも同じことです。段階的なプログラムの中で、「もう少しがんばればできそうだ」というところに目標を設定することでこそ、おのずとモチベーションが上がり、達成意欲を高めることができるのです。

③は、まずBGMが大きなポイントとなります。曲想やテンポなどをよく吟味し、活動に合った曲を選択することが必要です。ランニング、準備体操、ローテーション、それぞれで曲を止めたり流したりせず、毎日決まった曲が次々と流れてくるようにすれば、活動の流れが自然とできあがってきます。

④については、身体の一部に運動が偏らないということです。バランス運動があれば、跳躍運動があり、柔軟運動があれば、回転運動がある―といったように、さまざまな機能をさまざまな部位を使って表現できるようにプログラムすることにより、身体のコンビネーション能力と運動感覚と筋力を高めていきます。ただし、ここでいうところの筋力とは、身体を動かすことにより付随的に高めていくものであり、特別にトレーニングが必要ではないということを補足しておきます。

⑤の「変化のあるくり返し」とは、毎日同じことをしているのだけれども、心持ちで違った捉え方ができるということです。例をあげてお話しましょう。登り棒に取り組んでいるとします。登り棒というのは、上まで登って下りる、という単調な運動です。それゆえ、登れるようになった子どもたちにとって、食いつきはよいが、離れるのも早いといったことになりかねない運動でもあります。そこで、色々な方法で子どもの心にアクセスする必要があるのです。

  • 誰がいちばん速く上までいけるか競争する
  • 全員(個人)が何秒で上までいけるか挑戦する
  • 10秒間でどこまで登れるか、を挑戦する
  • 男の子チームと女の子チームで競争など

登って下りるという取り組みは同じだけれども、ことば掛けや設定を変えるだけで、子どもたちがまた違った気持ちで取り組むことができる、それが「変化のあるくり返し」なのです。

⑥は、体育ローテーションを園生活の一部にするということです。今日は朝9時から、明日は無し、明後日は11時から……、といったように、日によって変わっていては、定着どころか、体育ローテーションが特別な活動になってしまいます。子どもたちにとって体育ローテーションは、あくまで普通のことでいいのです。毎日、同じ時間にBGMが聞こえてきて、同じ場所で同じ仲間と自然に身体を動かしている。そんな感覚がよいのです。

子どもたちにとって、身体を動かすことは、特別なことではありません。無我夢中で興じる「あそび」のような体育ローテーションであってほしいと思うのです。

メニュー設定のコツ

最後に、メニューの設定の仕方についてお話しします。基本的には、When(いつ)・Where(どこで)・Who(だれが)・What(何を)するか、を考えます。

  • When(いつ)…実施月のことをいいます。ただしこれは、園によって、2ヶ月同じメニューで、もしくは1学期間同じメニューで、と考えておられる場合もあるようです。しかし少なくとも「1年中メニューは全く変わりません」ということのないよう、子どもの様子を見て、レベルアップも考えていただきたいと思います。
  • Where/Who(どこで/だれが)…実施場所やコースを考えます。保育士の人数によりますが、園庭を4・5才児クラスが使い、遊戯室を3才児クラスが使うといった2フロア同時進行タイプや、全クラス一斉に進行するタイプ、また年度当初は2フロアだが時期をみて一斉に移行するタイプ、年齢ごとに時間をずらして実施する変則タイプなど、さまざまな型があると思いますので、何が一概によいということはありません。要は場所の広さ・参加人数(補助者の人数も含め)などを加味して、最良のコースを設定するためにはどのような型が適当かを考えなければなりません。
  • What(何を)…「とりあえず昨年と同じ」といった考え方はよくありません。設定理由について質問しても「……??」、これからの展望や計画について質問しても「……???」というような具合では困ります。

その年、その年の年間カリキュラムを作成し、目標をもって進めていけるよう、配慮が必要です。だからといって、「先日見学した園が10段のとび箱を跳んでいたのでウチも……」というのではなく、子どもの実状をよくふまえた、段階的なプログラムが必要です。

 

楽しく、有意義な体育ローテーションを目指して、今年もがんばりましょう!